ギタリスト・ベーシストの皆様注目の新製品「Spark NEO」がPositive Gridより2025年2月18日に発売されることが発表されました。
この度、幸運にも実機を試す機会がありましたので、皆様に製品の機能やサウンドの印象をお伝えいたします!
自宅用アンプとしてこれまで「Spark GO」や「Spark MINI」、「Spark 2」を発売してきたPositive Grid。最近ではライブ使用を想定した「Spark LIVE」など、シリーズバリエーションを増やしてきました。
元々はパソコンやDAW上でリアルなアンプ・エフェクトを再現するシュミレーターを開発していたメーカーということもあり、その技術がSparkシリーズに引き継がれています。
上記の特徴が人気を呼び、ギタリスト・ベーシストの定番シリーズとなりました。
今回の新製品「Spark NEO」はこれまでとは違うヘッドフォン型のギターアンプ。その製品の魅力について、本記事でお伝えしていきます。
Sparkシリーズ新製品「Spark NEO」はヘッドフォン型のギターアンプです。ギター演奏用にチューニングを施したドライバーを搭載し、手軽にSparkのサウンドとギター演奏を楽しむことができます。
特筆すべきは徹底して「ワイヤレス」であることです。
つまり、ギター・スマートフォンと「Spark NEO」を接続しても、完全に「ワイヤレス」な状態でギターを演奏できるのです。
詳細は後ほどお伝えいたしますが、個人的にはSparkシリーズの中で「一番気持ちよくギターが弾ける」製品だなと感じました。
音のアタックやサステインが非常に自然で、実際にアンプで弾いている時に近い感覚で演奏が楽しめます。
Spark NEOはヘッドフォン本体にスイッチ類が搭載されています。
本体の操作だけでなくプリセットのコントロールなどもヘッドフォンから行えるため、電源入れてからスピーディーに演奏に移ることができます。
本体右側にあるボタンが電源ボタンとなっています。
こちらはBlutoothのペアリングのボタンも兼ねており、長押しすると電源のオンオフ、タップするとBlutooth接続が開始します。
電源を入れたら、Spark NEOトランスミッターと接続します。
トランスミッターをギターに差し込み、長押しで電源をオンに。続いて「Spark NEO」本体左側にあるボタンでワイヤレスレシーバーを起動。
すると即座にギターとの接続が行われます。
この状態でもSpark NEOは演奏が楽しめますが、アンプ・エフェクトの変更のためにスマートフォンアプリ「Spark App」と接続します。
Spark Appを起動し、「接続する」をタップ。「Spark NEO」本体の電源ボタンをタップしペアリングを開始します。
すると、このようにSpark Appでアンプ・エフェクトの操作ができるようになります。
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スマートフォンから音楽を流して演奏したい時は、Blutooth接続を行います。
お使いの端末からBlutoothペアリングのデバイスをご覧いただき、「Spark NEO Audio」に接続してください。
Spark Appを起動している端末からでも、それ以外の端末からでも接続が可能です。
「Spark NEO」本体右側にはボリュームとプリセットのコントロールボタンが付いています。
「+」と「-」が刻印されているボタンがギターボリュームのボタンです。
ボリュームボタンの間にプリセット切り替え用のボタンが付いています。保存してある4つのプリセットの切り替えが可能です。
プリセットはSpark Appから好みのサウンドを設定して変更ができるため、一度好みのプリセットを作成して保存しておけば、「Spark NEO」とギターだけでも演奏を楽しむことができます。
これまでも、「ワイヤレス」であることを魅力とした製品はPositive Grid以外のメーカー製品でも販売されてきました。
しかし、ヘッドフォン型のギターアンプが「ワイヤレス」であることで、圧倒的にセッティングが早く済むことを痛感しました。
「家でギターを演奏する時、自分は些細な準備でもこんなに手間を感じていたのか」というのが素直な感想です。
通常、アンプとギターをシールドケーブルで繋げ、電源を入れ、ボリュームを調整してギターを弾き始めます。場合によってはさらにヘッドフォンをアンプに繋げ、騒音にならないように気を使います。
こうなると、
と、無意識に必要な作業を行なって、やっと演奏を始めることができます。
しかし「Spark NEO」であれば、
だけでギターの演奏が始まります。
『仕事終わりにギターを弾くことが億劫になってしまう』というギタリストあるあるが、「Spark NEO」があればかなりの部分軽減されるのです。
加えてケーブルがないことで、身の回りを邪魔するもこともありません。少し動いてケーブル類を踏んでしまうこともないので、リラックスした体勢でギターを楽しむことができます。
もう一点驚いたのは、付け心地がとても良いことです。
まず、クッションが柔らかいことが使ってみるとわかります。イヤーパッド部分も含め、頭部に接する箇所にソフトなクッションが採用されています。
ギターの練習は長引くことも度々あります。
ライブ前で重点的に練習が必要な時や、演奏に興が乗ってしまった時には、4時間、5時間と長時間ギターを演奏することになります。
「Spark NEO」はそう言った長時間の演奏でも負担にならないような設計がされている様です。
一番気になるのは「Spark NEO」のサウンドについてではないでしょうか。
個人的な印象ではありますが、実際に使用してみて「かなり自然なギターサウンド」という感想を抱きました。先述の通り、Sparkシリーズで「一番気持ちよく演奏できる」製品というのが率直な印象です。
まず、クリーントーンが非常に気持ちよく出てくれます。
小型のアンプなどでは平坦になりがちですが、ギター用に調整されたドライバーのおかげで、ピッキングの強弱にも綺麗に反応します。アタック感がしっかり出るため、実際のアンプを弾いている様なレスポンスを感じながら演奏ができます。
ドライブした時のサウンドは、まとまりのあるサウンドです。
Sparkシリーズの得意分野なだけあって、激しく歪ませても軽く歪ませても気持ちの良いサウンドが楽しめます。この点はシリーズ共通の特徴と言えそうです。
歪ませてもピッキングの強さによりサウンドに変化が感じられ、非常に良い印象を持ちました。ハイゲインサウンドではブリッジミュートも重く、余韻を出すことができます。
また、リバーブなどの空間系も聞きやすく、自分の演奏の細かいところまで確認ができます。どのサウンドでも演奏していて気持ちが良いですね。
「Spark NEO」を検討している皆様の中には、こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
『他のSparkシリーズのヘッドフォンで聴く音と同じサウンドなんじゃないの?』
弊社スタッフも同じ疑問を持っていたため、実証のため比較を行いました。比較対象には「Spark GO」を選択。価格的には「Spark NEO」よりお求めやすく、超小型アンプのため、この二つで悩む方が多いのではないでしょうか。
ヘッドフォンにはFocal「Lensys Professional(税込121,000円)」を用意しました。プロ向けのハイエンドモニターヘッドフォンなので、対抗馬としては申し分ありません。
むしろヘッドフォンが良すぎて「Spark GO」が圧勝してしまうのでは…と思いつつ、両者同じプリセットで比較を行いました。
「Spark GO」にヘッドフォンを繋げ、「Spark NEO」と聴き比べてみたところ、
『Spark NEOの方がリアルなギターサウンドが感じられる』
という結果になりました。
比較してみるとかなり大きくサウンドが違うことが分かります。
「Spark GO」も良いサウンドなのですが、「Spark NEO」はギター演奏に特化したヘッドフォン設計になっているため、
に特に差を感じることができました。
Positive Gridがヘッドフォン型ギターアンプを設計するにあたって、入念なチューニングを行なっていることが分かります。
もしお試しいただける機会があれば、ぜひこの2製品のサウンドを比較してみていただきたいと思います。
「Spark NEO」は先述の通り、製品本体からプリセットとギターボリュームのコントロールが可能です。アンプで演奏する時と違い、耳元で大まかな操作が完了します。
「ワイヤレス」である身軽さに加え、一切移動することなくコントロールが行える手軽さが、「Spark NEO」の演奏体験をより強調してくれます。
億劫なセッティング作業をすることなく、ギターの演奏に没入することができます。
「Spark NEO」は、持ち運びでの使用も考慮した作りになっています。
コンパクトに折りたたむことができるため、カバンやギターケースに入れて外出することができます。スタジオ前の個人練習や本番前の演奏の確認、旅行先や遠征先など、役立つ場面は多そうです。
Sparkシリーズ共通の特徴ではありますが、専用アプリSpark Appと接続することで、サウンドの調整だけでなくジャムセッションなどを楽しむことができます。
自動でバッキングトラックを生成してくれるため、アドリブやソロの練習にも最適です。
また、33アンプ、43エフェクトをSpark Appから選択できる上、ToneCloudを使えば100,000以上のトーンを使うことができます。
こだわりの音作りもSpark Appから行うことができます。
さらに、Spark AppはYouTubeと連動しており、アプリ内でYouTubeの動画を流すことができます。
自動でコードを解析して表示してくれる機能があるため、ミュージックビデオに合わせてコードを見ながら練習が可能です。
ヘッドフォン型アンプということで、ジャイロセンサーがあるかという点が気になる方もいらっしゃるかと思います。
「Spark NEO」にはジャイロセンサー機能はありません。
しかし、音の移動が気にならない分、演奏に集中したいタイプにはむしろおすすめです。元の音が十分自然なため、ジャイロセンサー機能がなくても臨場感のある演奏が楽しめます。
「Spark NEO」は有線でのギターとの接続にも対応しています。
Spark NEOトランスミッターでの接続だけでなく、お手持ちのシールドケーブルを挿して演奏できるため、万一トランスミッターの充電が無くなってもスムーズに演奏に復帰できます。
「Spark NEO」はSpark Appとの接続と、Blutoothオーディオ接続が分離しています。そのため、異なる二種の端末を接続して使用することができます。
例えば、Spark Appでの音作りは画面の大きいiPadで行い、音源は普段使っているiPhoneから流す、という使い方が可能です。
もちろん、1つの端末でオーディオ接続とSpark Appのコントロールもまとめて使うこともできるので、用途に合わせて演奏を楽しめます。
「Spark NEO」は通常のBlutoothヘッドフォンとしても使うことができます。過度に低音が強調されたりすることもなく、明るくはっきりとした音像で音楽鑑賞が楽しめます。
ギター練習と音楽鑑賞をこれ一つにまとめてしまうのも良いですね。
これまでのSparkシリーズと違い、「Spark NEO」にはオーディオIFとしての機能は無いようです。
そのため、サンプル音原などで製品のサウンドをお聴かせできないのは残念ですが、本製品のギターサウンドはヘッドフォンの設計あってこそ。
また、「ワイヤレスにギターを楽しむ」というコンセプトから鑑みるに、録音用途として使いたいという方は少ないかと思います。
「Spark NEO」の充電時間と使用可能な時間は以下となっています。
製品名 | 充電時間(5V/2A USB-C充電器) | プレイタイム |
Spark NEO本体 | 3.5時間 | 最大6時間(ギター&オーディオ使用時)
最大8時間(オーディオのみ使用時) |
Spark NEOトランスミッター | 2 時間 | 最大13時間 |
ギターとBlutoothオーディオを両方繋げても最大6時間充電が持つので、長時間の練習でも心配はなさそうです。
Sparkシリーズはベース、アコースティックギター(エレアコ仕様)で使えます。「Spark NEO」も同様です。
ベース用のアンプ・エフェクトも内蔵していますので、騒音を気にすることなく演奏を楽しみたいベーシストの方にもおすすめです。
以上、「Spark NEO」を実際に使用してみてのレビューでした。個人的にはサウンド面、機能面どちらも申し分なく、好印象でした。
本製品のサウンドは特性上サンプルなどを共有するのが難しいため、ご検討の皆様の一助になれば幸いです。
ギタリスト・ベーシストの皆様には是非一度お試しいただきたい一品となっております。