「Curves AQ」とはWaves社の開発した新製品のイコライザー(EQ)です。
その特徴は「Learnボタンをクリックするだけで、Curves AQがイコライジングすべてを処理」するというもの。昨年発売された自動レゾナンス処理プラグイン「Curves Equator」に続く、第二のCurvesシリーズ製品となります。
今回の「Curves AQ」は世界初の自律型EQであり、従来のスマートEQとは異なる非常に魅力的な製品。ミックス入門の方からプロの方まで必見のEQとなっておりますので、ぜひ製品ページもご一読いただければと思います。
本記事では、「Curves AQ」をご検討の方・購入したばかりの方に向けて、機能と使い方を動画付きで簡単解説していきます。
「Curves AQ」の使い方は基本的にDAWのトラックにプラグインとしてインサートし、トラックを学習させるだけです。楽器やボーカルなどのトラックに加え、マスターやバスにも使用することができます。
細かい調整を行うことも可能なので、以下のポイントを押さえて活用して行きましょう。
「Curves AQ」には以下の2つのモードがあります。
「Curves AQ」を使用するときは、使用するトラックに合わせて上記の2つのモードを切り替えましょう。
トラックを学習させるためには、トラックの音を鳴らした状態で「Learn」ボタンをクリックします。
すると学習が始まるため、トラックを鳴らしたまま完了を待ちましょう。
学習が完了すると、「Curves AQ」がトラックに合わせた独自のプロファイルを5つ提案してくれます。
この中から自分のイメージに合ったサウンドを選択しましょう。
Adaptiveではトラックを分析した独自のEQプロファイルが表示されます。プリセットから他の楽器タイプなどを選択することも可能です。
EQのかかりの強さは製品画面下部の大きい丸いパラメーターで操作します。
上にスライドするとより強く、下にスライドするとより弱くエフェクトのかかり具合を調整できます。
また、横の青のパラメーターでカットの強さを、赤のパラメーターでブーストの強さを個別に調整可能です。
「Curves AQ」はカット・ブーストの動きを調整できます。
左下のパラメーターをDYNAMIC側にスライドするとより動的にEQが動作します。STATIC側にスライドすると静的にEQが動作します。
カット・ブーストの動きは画面上で反映されていますので、視覚的に動作を確認することも可能です。
TILTはターゲットカーブの傾きを調整するパラメーターです。ノブを上下に動かすことで基準点よりハイ側 / ロー側を強調することができます。
左右に動かすと、どの周波数を軸として傾きをつけるかを調整可能です。
1,000Hz以上を強調し、それ以下を控えめにしたい場合はノブを左右にスライドし1,000Hzに設定。その後ノブを上に動かすと、1,000Hzを中心とした右肩上がりのターゲットカーブに調整することができます。
TILTには以下の4つのモードがあります。ターゲットカーブの傾き方が変わるため、状況により使い分けができます。
OFFSETを操作することで、ターゲットカーブの形状を残しつつハイ側/ロー側にスライドさせることができます。
パラメーターを右側に動かすと、ターゲットカーブがハイ側にスライド。左側に動かすとロー側にスライドさせることができます。
ターゲットカーブに少し手を加えたい場合、以下の4つのアンカーを使って調整が可能です。
各帯域は自動的に設定されていますが、好みのポイントに調整することも可能です。特定の帯域のみ強調したい場合は、積極的にアンカーを使用しましょう。
また、帯域ごとにカット・ブーストの強さを個別に調整することも可能です。
ターゲットカーブ付近にカーソルを移動させると以下のようなパラメーターが表示されます。こちらも赤がブースト量、青がカット量の調整となっています。
サイドチェーンを使用すれば、他トラックと被る帯域のマスキング処理をすることが可能です。
例えば、ベーストラックとキックの被りを処理したい場合は、ベーストラックの「Curves AQ」にキックからサイドチェーンを設定します。
マスキングの強さは左上のMix Senseで操作でき、緑色の表示でマスキング量を確認できます。
Advanced Controlから、さらに詳細な以下の機能にアクセスすることができます。
「Curves AQ」をマスターやバスで使用する場合、基本的な使い方はInstrumentモードと変わりません。トラックを読み込ませ、ターゲットカーブを選択。お好みに合わせて各パラメーターを調整すれば完了です。
「Curves AQ」は学習前のデフォルトの状態がフラットなターゲットカーブとなっています。
マスターやバスでフラットなサウンドを目指す場合は、学習をさせることなくエフェクトの強さのみ調整しましょう。
トラック学習後にフラットターゲットを適用したい場合は、右上のTargetからゴミ箱ボタンをクリックしてください。
トラックを読み込んで自動的にEQ処理を行う「スマートEQ」は、Waves以外のメーカーからも販売されています。
「Curves AQ」と他製品との大きな違いは、学習したトラックに対してオリジナルのターゲットカーブを生成する点です。
従来の「スマートEQ」は、トラックに対して固定のプリセットカーブを適用するものがほとんどでした。
「Curves AQ」は学習したトラックに対し独自のEQプロファイルを生成するため、よりユーザーのトラックに合ったEQを提案してくれます。
また、単なるAIミックスツールではなく、自由にサウンドをカスタマイズできるようコントロールが備わっている点も魅力です。
「Curves AQ」と同じCurvesシリーズ製品である「Curves Equator」も同様に、トラックを学習し自動処理を行うプラグインです。
一見同様の製品に見えますが、「Curves Equator」はレゾナンスやマスキングの処理に特化したEQ。不要な帯域の処理に特化した製品となるため、「Curves AQ」とは用途が異なります。
一方、「Curves AQ」はよりサウンドメイクとしてのEQ処理を行う製品です。
つまり、「Curves Equator」でトラックの下処理を行い、「Curves AQ」でサウンドを作っていく、といった用途が想定されています。
「Curves AQ」をご使用の際には、ぜひ併せて「Curves Equator」も前段の処理にお使いください。
本記事は2025年4月17日時点での情報を元に作成されています。